びっくりレポート

 タカコ・グレッグが日本を離れてから、日々のできごとや見たこと聞いたことを、みんなにレポートします。お楽しみに!


びっくりレポート028号

11月12日(木) 曇りのち雨/27℃

 いつもゴーっという音がしています。

 高さ5メートルもあろうかという大波が、さんご礁に当たって砕け、ごうごうたるうなりを上げているのです。ザアッーという泡立つような連続音の間に、地面を揺るがすような低い地響きが混じります。

 太平洋を何千キロにも渡って、東からの貿易風に吹き送られてきた大きなうねりは、島の東側の海岸線にせり出したさんご礁に砕け散ります。

 岸から数百メートルの場所で、波頭が白く泡立って崩れるのが見えます。紺色の水が、数千メートルに急激に落ち込むその先の海の深さを感じさせます。

 まだ暗い午前5時半ごろから、別の音がし始めます。自分を守るために木の上で眠っているニワトリたちが、一斉に木の上からときの声を上げるのです。薄暗い空に向かって力いっぱいに「コケコッコー」と鳴きあいます。

 かさかさと、乾いた音を出すのは、犬、ネコ、そして地面に降りたニワトリたちです。さんごのかけらを敷き詰めた地面は、どんなに軽いいきものでもその上をあるくとさんごのかけら同士がこすれあって音を出すのです。

 カッカッカとさんごのかけらをけ飛ばしながら歩いているのはニワトリ、静かに一歩一歩あるいているのはネコでしょう。

 さわさわと風が出てきました。

 村の天を覆っているヤシの葉が大きくしなって、ざわざわと騒ぎ立てます。長さ5メートルもある大きなヤシの葉が、その深い切れ込みでできたさらに小さな一枚一枚の鋭い葉をびりびりと震えさせ、村中がその葉擦れの音に包まれるのです。まるで雨が降り始めたかのような音です。

 一家のおばあさんであるフォースティーナの声がします。

 白い煙が上がって、朝の食事の用意が始ったようです。旧日本軍の残したトロッコのレールを2本渡して、その下でココヤシの芽のさやを燃やします。乾かしたさやは、最高の焚き付けになるのです。真っ黒になったやかんをかけて、湯を沸かします。アメリカの信託統治を受けているときに覚えたコーヒーが、彼らの朝にはかかせないのです。

 子どもの泣き声がし、浜辺におかあさんと一緒に水浴びにいった子供が、かけ戻ってきます。裏のバナナの林の影にある井戸で、塩水を洗い流すザアーッという音がします。空には、真っ白な雲が朝日に照らされて黄金色に輝いています。朝日が村の家々も照らし始めました。パパイアの木の緑色の葉が、真っ青な空に揺れています。

 潮と風の音に包まれて、島の一日がはじまります。

(報告:大前純一)



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