びっくりレポート

 タカコ・グレッグが日本を離れてから、日々のできごとや見たこと聞いたことを、みんなにレポートします。お楽しみに!


びっくりレポート029号

11月14日(土) 曇り時々雨/26℃

ジャメシーナの隣の家でラバラバを織っているところ。男が使うラバラバで黒と白の縞模様。慣れた人だと2日で一枚を織り上げる。ハイビスカスやバナナの繊維を糸にして使うのが伝統の手法。
 日も暮れて、フォースティーナが外でお湯を沸かしていました。一緒に座っていたら、ウォレアイ語のわからない私に向かって何かゼスチャーをしながら話しかけてきました。どうもアーニーが足を切ったようです。

 フランシスコさんはよく知られた伝統マッサージ師ですし、地元にはここの薬草を使った薬がたくさんあるので、遠慮しながら「消毒薬と化膿止めを持っていますが、使いますか」と座ったまま、家の戸口の所にいたフランシスコさんに尋ねてみました。

 すると、「そうしてください」と言われたので、体を洗いに行こうとしていたアーニーに、傷口をできるだけきれいに水で洗ってから私に見せるように、伝えました。

 暗くなった井戸の近くで、何人かのお姉さんたちがアーニーをしかりつけながら大騒ぎで洗っています。

 とうとう高校生のお姉さんの両腕に抱きかかえられて、痛さで涙を浮かべたアーニーが登場しました。

 誰かがランプをぐっと近付けます。

 左足の小指と薬指の間が、ぎざぎざにざっくりと口を開けて切れていました。

 「パパイヤの木に登っていて、降りたところにガラスのビンがあった」そうです。

 かなり深い傷で肉まで見えているのに、血がぴったりと止まっていて、しかも傷口が比較的きれいなのです。ははあ、これは地元の薬だなと思って、「どうやって血を止めたの」と聞くと、始めはずいぶんひどく血が流れていたそうですが、まだ若いバナナの木を切ってすりつぶし、誰かが他の葉っぱも持ってきて、すりつぶして一緒に絞った、と言いました。

 本当に、感心します。

 私にも数度、体験があります。何かで指や足を切って、かなりの血が出ているのに、ある種の葉っぱを直ちにぐにゃぐにゃっとして絞ると、たちまちうそのように血が止まるのです。

 痛がるアーニーをお姉さんが押さえ付け、私が消毒しているときも、他のお姉さんが、枝分かれしているような濃い緑色の葉っぱをたくさんアーニーの足の下に敷いていました。

 1カ月前にジュリアーナがお産をしたとき、直後にこの葉っぱを敷き詰めたうえに座ったのと同じ葉っぱです。癒すための、ヒーリングの葉っぱです。

 ジュリアーナがまだ、お産小屋で寝泊まりしている時に、大きな鍋に茶色の液体がありました。聞けばある木の皮を使って採った薬で、これで体を洗うと体力の回復に役立つということでした。

 シベリアやアラスカの先住民たちと暮らしたときも、さまざまな用途に使う薬草を教えてくれました。きっと日本にも、そんな知恵があったに違いありません。「漢方」などと、プロが作った薬は売っていますが、民間にあったものは日常で使われていないような気がします。みなさんの暮らしの中では何が残っていますか?

 フランスには今でも使っているものがあるのでしょうか?インディアンたちは間違いなく、そんな知恵があったでしょうが、後から大陸にやってきたアメリカ人たちにはどんな知恵が伝わっているのでしょう?

(報告:高野孝子)



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